[本] 本山勝寛「「東大」「ハーバード」ダブル合格 16倍速勉強法」/「頭が良くなる!マンガ勉強法」

 先日、泡沫野党の代表が何度めかの野合に際して「1+1は2じゃない。民進と希望は1+1で200だ。10倍だ」と言ったとか言わなかったとかいうネタがネットに流れていた。ネタである。ネタであるのだが、この間抜けすぎるセリフがあまりにも彼のイメージにフィットしてしまう。

https://togetter.com/li/1222060

 元ネタは若き日のプロレスラー天山と小島のプロレス誌のコメントだ。こういうおバカなノリと勢いを足し算で表すというネタとしては、「キン肉マン」のウォーズマン理論も有名である。

 タイトルから同じようなおバカな臭いをうっすら漂わせる「『東大』『ハーバード』ダブル合格 16倍速勉強法」。16倍というのはお勉強の4つの柱を強化して倍にすると、2×2×2×2=16になるという実にざっくりした計算なのだ。まあ、この手の量産型ビジネス書のタイトルは目立ってなんぼなのでそのタイトルが胡散臭いからと言って中身が100%ダメというわけではない。
 著者・本山勝寛は、東大工学部、ハーバード大学院を修了した超秀才である。しかも、決して裕福な家庭の生まれではなく、中学高校は公立校、塾に通ったことも家庭教師についたこともない。野球部で練習に明け暮れ、中学からバイトもしていたという本山は、金、時間といったリソースが潤沢だったわけではない。そんな僕でも超難関を突破してきた最強の勉強法、といった趣なのだが、怪しいノウハウ本の要注意なパターンである。この経歴からわかるのは、本山が経済的には恵まれなくともイイ頭には恵まれたというだけの話である。

 もっとも、生まれつきの金持ちが心がける倹約法やビジネスの心得が、無一文の人間にも場合によっては有用であるかもしれないように、生まれつき頭のいい人間が実践してきた勉強法が、生まれつきそれほど頭が良くない人間にも、時に有用である可能性はゼロとはいえない。

 本山がいう4つのポイントとは地頭、戦略、時間、効率である。
① 地頭がいいこと。身も蓋もない。普通記憶力がいいとか回転が速いとかをイメージしがちだが、本山は、読み書き算盤のことと言う。言い換えれば、読解力、文章力(表現力)、計算能力。それ自体がお勉強じゃねーか、という気もするが。まあ、基礎ができていなければ何を勉強しようにもはじめようがないし、努力次第でなんとかなりそうなファクターではある。倍になるかは怪しいが。
② 戦略。目的とその達成に最適な計画立案。期限の設定、モチベーションの維持、など。割りとオーソドックスである。これだけ情報が溢れている世の中で、通常より倍も効果的な戦略立案というのがすでに画餅感がある。 
③ 時間。効率的な時間の使い方、スキマ時間の活用、といったところである。わたしのようにだらけた人間ならいざしらず、現状でそれなりに頑張っている人間の勉強時間を倍に増やせるだろうか。
④ 効率。集中して勉強しようと言うほどのことである。あとは②とも関連するが、勉強した気になるだけの無駄な作業を避ける、とか、試験対策なら問題集にあたって弱点を明らかにしてからそこに傾注するといった工夫もあるだろう。

 全体に間違ってはいないのだろうし、実践すれば効果的であろうという勉強法・生活習慣の数々が紹介されているのだが、4本柱で16倍という数式に当てはめるために、特に戦略と効率など、なんだかかえってわかりにくい分類になっている気もしないでもない。その16倍というのも、偏差値25も頑張れば50になるよ、という話を4段重ねしたようなものである。最後にチェックシートがあってやること一覧になっているのがまあ親切設計か。
 肝心要と言うべき「地頭」の項だが基礎学力の充実といった話で、あとは脳トレっぽい話とか身体を動かそうとか、実にふわっとした内容である。もともと頭のいい人に頭を良くする方法を期待する方がそもそも間違っているのだが。

 なんらかの目的を持って勉強のようなことをしている人がたまたま入手した際、チェックシートで現状の勉強習慣を検討してみるといいかもしれないがそうでない場合は、それほど益のある本ではないと思う。まあビジネス書だしな。

 地頭-読解力で、対象分野の入門編として漫画や小説を読むことを勧めているのだが、そこを拡大したような本が「頭がよくなる!マンガ勉強法」である。

「読書は勉強の王道中の王道であると同時に、仕事においても基礎的な筋力となる」と本山は言う。読書という、内容はさておき誰にでもできる営為でもって人生をなんとかしたいとは誰しも思い、だからビジネス書が売れ、その中でも読書術速読術勉強術が定番のジャンルになっている。
 それも嫌々やるより好きになったほうがよい。そして、読書好きになるには4つのポイントがある。

① 面白い本に会う
② 好きなテーマ、関心のあるテーマについての本を読む
③ 前提知識のある本を読む
④ 自分の知識レベルに合った本を読む

 で、本を読むには前提知識が必要だが、本を読まなければ前提知識が身につかない、というジレンマが生じる。そこでマンガである。というのが本山の主張である。

① 大体のマンガは面白い。
② 興味のないテーマでもマンガとして読むうちに興味が湧く
③ マンガは前提知識の絵解きでもある。
④ マンガは誰でも読める。

と、勉強の入門編にはもってこいの条件が揃っている、というわけだ。

 そして、本書は、ビジネス・経済、会計、政治、日本史、世界史、英語、といった各ジャンルに関してオススメのマンガとそれに続く入門書、専門書が紹介されているブックガイドにもなっている。

 わたし自身、歴史マンガから歴史が好きになって学生時代成績は比較的良かったりしたので、この「マンガ勉強法」自体は面白いし有効だと思う。とくに不案内なビジネス・経済、会計分野はブックガイドを活用したいところだが、この文庫版が既に6年前、元の本自体約10年前だしなあ。挙げられている書名を検索しといたらAmazonが適当に新作をおすすめしてくれんだろうか(超受け身)。

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