一流は自分で一流とは言わないと思う。「超一流の雑談術」

Prime Readingに入っていて、タダだし(Prime会費はかかっているが)読んでみるかと落とした本。

フランス人万能説がでるくらい「フランス人は〜」「フランス人の〜」という枕詞はビジネス書界隈では定番と化しているが、元祖本家本流のワードが「一流」である。
そんなタイトルをつける方もつける方だが、それに手を出す読者が一定数いるというのが恐ろしい。

さらに一流どころか、言うに事欠いて「超一流」である。

各章ごとに

三流は〜
二流は〜
一流は〜

と掲げる構成の何様感が微妙に不快な本書だが、内容は案外まともである。

全8章に38のポイントが示されているのだが、「一流の会話術 38のルール」なんてタイトルで売れた類書に乗っかる手もあったかもしれない。余計なお世話だが。

雑談嫌いの心理

そもそも、わたしは他者と目的もなしに話すという習慣が理解できず、話しかけられるのも嫌だった。

目的があったとして、ならばとっとと用件に入って話し終わるべきだと考えていた。

雑談の過程で余計なことを聞かれて答えるのも面倒だし、私的領域に踏み込まれつつある感があって居心地の悪い思いをするばかりで、相手方だってそうだろうし、余計なことは聞くまいと心がけてさえいた。

世の中には沈黙に耐えられないという心理があるらしいと知ったのは随分大人になってからである。

わたしはなるべく1人でいたくて、周囲に人がいると嫌だなと思うだけなのだが、よくよく考えてみればお互い様なのである。いるだけで互いに不愉快、それを緩和するために雑談を交わすのは当然のマナーだったのである。

会話の労力

話下手、会話が苦手、というと、聞き役に徹すればいいのだ、とはよく言われるが、本書では、聞くのは話す3倍の労力が必要とする。

話すか聞くか、ということは重要ではなく、相手に気を配りつつ話し、あるいはうなずき、質問し、といった、単純ではない、アドリブありきの頭をフル回転させた作業をしようとすればそうなる。

雑談は高等技術

そんな面倒なことがこの世の中の津々浦々で日常的にきちんとなされているわけがない。会話が苦手で嫌いで喋らず孤独を指向する人間がいる一方には、おしゃべり好きだが会話上手ではない大勢の人間がいる。

ただのおしゃべりと、本書などコミュニケーション系のビジネス書で説く会話は明らかに別物で、後者は意識的に準備し、練習しなければ身につくものではない。

できないのは減るべき段階を踏んでいないからだ。まあ、やればできるという保障もないのだが。

雑談トレーニング

本書はトレーニングメニューまで設定してある超一流の親切設計である。

  1. エレベーターで相乗りしたら階数を尋ねる。
  2. 会計時、店員に一言声をかける。
  3. 発声のコツ 
  4. 知らない人と雑談する(飲み会、異業種交流会、タクシー、美容室etc)
  5. 現在の人間関係で苦手/嫌いな人間と雑談する
  6. スピーチのネタをこする。
  7. 連想ゲーム、謎掛け
  8. 乾杯の挨拶を引き受ける。

超一流の割に思いつくまま並べた感もあるのだが、整理すれば、

事前の準備/日常の練習として

  • 発声法・発声練習
  • ネタの収集、整理
  • 謎掛け連想ゲーム

実践の一段階目として

  • 一言二言で終わるシチュエーションで赤の他人と話す。

第二段階として

  • 一定の長さの時間、赤の他人と会話する。
  • スピーチ、プレゼンに挑む

応用編として

  • 人間関係を改善する会話

といった形にしておきたい。

せっかくなのでいずれやってみたいと思う(多分やらない)。

「最強のコミュニケーション ツッコミ術」ビジネスにも通ずるかもしれないお笑い論

ツッコミという「聞き方」

2015年発行。これは買った当時途中まで読んでいた。

促しつつ、質問をしつつ聞き役となる、という定番の話し方手法の、聞き方にフォーカスした書、と言えるかもしれない。

すなわち、

ツッコミ=不足した情報の指摘 → 相手がその情報を追加する

という基本的な流れによって会話を展開させていくわけである。

一般人にも使えるお笑いテクニック的な趣もあるが、笑いの微妙なアヤ、間は新書一冊で到底伝わるものでもなく、

ネットに溢れるお笑い動画を飽きるほど見まくるとか、そしてボケでもツッコミでもお笑い的会話の場数を恥も外聞も捨てて失敗しまくりながら習熟していくしかないのだろうが、

そこまでして、いわゆる「面白い人」になりたいかと言うと、やはり、

別に。。。

なのである。

また、お笑い芸人はだしのツッコミができたとして、それを日常会話に持ち込んで、それほど良い結果になるとは思えない。

芸人のボケ・ツッコミは、何気ないように見えて、非日常の特殊なものだ。

しかし、本書で言う、ツッコミ脳をつくる、という部分は会話という枠を超えて有益であるかもしれない。

お笑い芸人でツッコミ役の人間のメリットも示されている。周囲からの評価が高まり、場の主導権を握れるというのだが、そのメリットを享受するのもツッコミ脳のなせる技である。

ツッコミ脳の作り方

非常識さ(=ボケ)に、常識人の立場から違和感を抱き、指摘するのがツッコミの役目。

何が常識で何が非常識なのか、どこが常識でどこが非常識なのか、誰が常識で誰が非常識なのか、

これらを正確に、かつ瞬時に見抜くために求められる能力は、平たくいえば、論理力です

ツッコミ脳の柱は、
・微細な情報に対する注意力・観察力
・情報の分析力
・分析を踏まえた判断力

であり、ツッコミ脳をつくるとはこれらの能力を磨くことである。

ツッコミが上手い人は、荷造りが上手です。

(略)前の晩にかばんを開き、「これは要るだろ!」「これは現地で買えばいいだろ!」「これがあれば便利だろ!」

などとツッコみながら、用意する荷物を思案しているはずです。

よいツッコミとはいいビジネスマンである。という本ができそうである。

大半の人間は、ビジネスの場面や日常の個人的な人間関係でのコミュニケーションを上達させたいと考えているわけで、結局ツッコミ云々はいらなかったんじゃないか、という気もするが、

テレビでおなじみのMCタレントのおなじみのやり取りの狙いの解説でもあり、それはそれで楽しい本である。

未読ながらあちこちでこすられすぎてなんとなく内容は知ってしまっている

の3列形式のノートフォーマットは、ツッコミ練習にもいいかもしれないと今思いついた。

まあやらんけど。

「誰とでも15分以上会話がとぎれない!話し方66のルール」を10年越しで読んでみた

本書は2009年から2010年にかけて売れていたと記憶している。だいたい同じ頃にブックオフで買った気がする。よく覚えていないが。

買ったのは会話が苦手だからであり、読まずに放置していたのはそこまで会話したくないのと、こういう本を読むこと自体にこっ恥ずかしさがあったからである。

基本的に、そもそも他人と話したくない、他人と同じ空間にいたくない、という人間なので、本書の対象外の外なのだ。

本書に当たる前には、問答無用で誰が相手だろうと15分以上話さなければ死ぬ、とぐらい仮想しておく必要がある。

「誰とでも15分以上会話がとぎれない!話し方66のルール」

タイトルだけを見るといかにもベタなノウハウ本的な66のテクニック、会話の場面において心がけ、やるべき66のマニュアル、というように勝手に変換してしまうのだが、

実のところ、66のルールと言うより7章66節とでもいったほうがいいような内容で、考え方、心構え的な部分が多い。

適当ないい加減な些末な表層的なことを並べてこれで苦手な会話も大丈夫、というようなお手軽な本ではなく、作者には話し方講師としての誠意は感じられる。

ともあれ、7章からなる66のルールはもっとシンプルにスリム化できそうでもある。

1 聞き方

  • 相手の気持を忖度しながら適切な相槌をうち、共感を表明する。
  • おざなりにならないよう、共感の言葉、感情表現のボキャブラリーを用意しておく。

2 話し方

  • 質問に合わせて自己開示。自分の性格がわかるような習慣、考えを伝える。
  • 質問する際は、相手の性格がわかるような話題を尋ねる。

3 質問

  • 5W1Hの情報と気分・感想を尋ねる。
  • ネガティブな部分、おおっぴらに言えない本音を促す。
  • 相手を主語にした流れを作る。

4 沈黙を切り抜ける

  • 天気などありきたりなネタ+自己開示
  • そして自己開示
  • 時にねぎらい
  • 目に見えたものからネタを拾う

5 関係づくりの端緒

  • 先手の挨拶
  • ほほえみ
  • アイコンタクト

6「人の輪」の入り方

  • 相槌を打つ、呼吸を合わせる。
  • やっぱり自己開示
  • 共有性の高い話題をストック
  • 内輪ネタ・マニアックネタは避ける

7 更に細かいテクニック

  • 細かい変化、仕草に注意する。気にかける
  • Yes/Noクエスチョンは答えやすい。
  • 名前で呼びかける。
  • 過去の会話/エピソードをまぜっかえす。
  • 異論があったら、直接的な否定/反論ではなく、質問形式で指摘する。
  • 感謝と労いのメールで距離を詰める

聞き役になれば大丈夫とか言いがちだけど、結局話さにゃならんのね

まずは聞き役に、というのはこの手の本にありがちなのだが、互いに打ち解けていないうちではいずれも話は弾まず、聞こうにも相手が話してくれないという事態になる。

こちらから積極的に話をすれば相手も多少は違うのだろうが、結局こちらから話をする覚悟を決めなければならない。

本書をさらにコンパクトにするならば、

  1. 話すネタを用意しておく。
  2. 相手をよく観察する。場の空気を読む。
  3. 効果的なあいずち、質問で相手の話を引き出し、広げる。
  4. 適宜自分のネタを挟む。

ということになろうか。そして、結局場数なのだろうな。残念ながら。

語学を身につけるには、当該国に移住するか、その言語を話す恋人・友人をつくれ、などとよく言われるが、これは話し方にも通ずるように思う。

話さなきゃ死ぬ環境に身を置く、話さなきゃ許されない相手と一緒にいる。

うげ。

話し方以前の問題

これらの手法の有効性はさておき、話が苦手という人は、そもそも話さなければいけないというシチュエーション自体にストレスを感じるものである。

  1. 聞き方 ←別に聞きたくない
  2. 話し方 ←余計な情報与えたくない
  3. 質問 ←広げたくない
  4. 受け答え ←めんどくさい
  5. 関係づくり ←別に作りたくない
  6. 人の輪に入る ←別に入りたくない
  7. ひとつ上の話し方 ←もう無理

いちいち拒否感が頭をよぎる。これは言い逃れようのない恥ずべき幼児性であり、社会人失格な無責任ぶりと自己批判せざるを得ない。

それは百も承知なのだが、

本書に、質問の語尾は「〜ですか?」ではともすれば尋問的になるので「〜でしょうね?」と柔らかくしようとあるのだが、どうしても、なんだか言われるのも言うのもキモいと感じてしまう。

穏やかな笑みを浮かべてアイコンタクト、やはりこっ恥ずかしい。

で、何はなくても自己開示、といった話に帰結する。

それがいやなんですよ。

話すネタを用意するために積極的に人と関わろうというのだが、それができている人はこんな本は読まない。

そして、このような救いようのない怠惰と幼稚性から来る忌避感をいかに克服するかという別のテーマが出てきて、

「嫌われる勇気」とかにつながるわけである(わけではない)。

ポリティカルコンパス的なもので政治・社会問題をざっくり眺めてみる

ポリティカルコンパス

随分前にネットでポリティカルコンパスがうっすら話題になったことがある。

日本版ポリティカルコンパス

久々に覗いてみたが随分放置されている感がある。

これは、主だった政治的テーマについてアンケートに答えさせ、

政治的保守・リベラル
経済的右派・左派

の掛け合わせによる4象限マトリクスで政治的立ち位置を判定しようというものである。

またマニフェストという言葉も一時もてはやされた。

地元や業界のしがらみとか、タレント議員の人気とかではなく、あくまで政策本位の選挙・民主政治を、という機運もあって、同じ流れだったのかなと思う。

毎日新聞の「えらぼーと」など、最近は国政選挙の際にポリティカルコンパス的なアンケートが企画される。

実際には与野党の対立軸がこの軸に対応しておらず、与党自民党自体が保守政党と言いつつ、リベラル色の強い議員も飲み込んでいたり、経済的右派がほぼ空席状態だったり、実際の分析ツールとしてはいまひとつである。

そもそも、経済政策はさておき、保守↔リベラルという設定も妥当なのか議論が分かれそうだし、アンケートの質問のように白黒はっきり分けられるほど、実際の政治は単純ではない。

と言ってしまったらおしまいか。

とはいえ、これらの質問集は、いまの社会や政治が抱える主要な問題のダイジェストにはなっていて、それらの問題を自分なりに考えてみようという場合には、結構いいガイドラインになっているのではないだろうか。

ざっくり並べてみた

1 国家・制度

  • 改憲
  • 9条
  • 教育制度
  • 首相の解散権
  • 国会議員の定数
  • 公文書管理
  • 天皇/女性天皇/女系天皇

2 税制

  • 消費税
  • 法人税
  • 富裕層
  • 社会保障の財源

3 安全保障政策・外交政策/治安維持

・国防

  • 自衛隊/国防軍化
  • 安全保障法制
  • 核武装

・対米

  • 日米同盟
  • トランプ外交
  • 在日米軍/辺野古

・北朝鮮問題/拉致問題

・対中国(侵略、経済的伸長)

・対露/北方領土

4 経済政策

  • アベノミクス
  • 企業優遇の是非
  • 原発
  • IR法案

5 社会政策

・労働政策

  • 働き方改革
  • 最低賃金の設定
  • 外国人労働者

・年金制度/生活保護

  • 支給年齢の引き上げ/支給額の変更
  • マクロ経済スライド

・教育

  • 子育て支援
  • 待機児童問題
  • 幼児教育/保育の無償化
  • 児童手当
  • 高等教育の学費負担

・家族

  • 夫婦別姓
  • 同性婚

以上、毎日新聞えらぼーとFokus JapanJAPAN CHOICEの項目をざっくり整理してみたのだが。

日々のニュースを眺めているとあれやこれや随分混戦して複雑に見えるが、結局このあたりのことが話題の大半を締めているように思える。