「誰とでも15分以上会話がとぎれない!話し方66のルール」を10年越しで読んでみた

本書は2009年から2010年にかけて売れていたと記憶している。だいたい同じ頃にブックオフで買った気がする。よく覚えていないが。

買ったのは会話が苦手だからであり、読まずに放置していたのはそこまで会話したくないのと、こういう本を読むこと自体にこっ恥ずかしさがあったからである。

基本的に、そもそも他人と話したくない、他人と同じ空間にいたくない、という人間なので、本書の対象外の外なのだ。

本書に当たる前には、問答無用で誰が相手だろうと15分以上話さなければ死ぬ、とぐらい仮想しておく必要がある。

「誰とでも15分以上会話がとぎれない!話し方66のルール」

タイトルだけを見るといかにもベタなノウハウ本的な66のテクニック、会話の場面において心がけ、やるべき66のマニュアル、というように勝手に変換してしまうのだが、

実のところ、66のルールと言うより7章66節とでもいったほうがいいような内容で、考え方、心構え的な部分が多い。

適当ないい加減な些末な表層的なことを並べてこれで苦手な会話も大丈夫、というようなお手軽な本ではなく、作者には話し方講師としての誠意は感じられる。

ともあれ、7章からなる66のルールはもっとシンプルにスリム化できそうでもある。

1 聞き方

  • 相手の気持を忖度しながら適切な相槌をうち、共感を表明する。
  • おざなりにならないよう、共感の言葉、感情表現のボキャブラリーを用意しておく。

2 話し方

  • 質問に合わせて自己開示。自分の性格がわかるような習慣、考えを伝える。
  • 質問する際は、相手の性格がわかるような話題を尋ねる。

3 質問

  • 5W1Hの情報と気分・感想を尋ねる。
  • ネガティブな部分、おおっぴらに言えない本音を促す。
  • 相手を主語にした流れを作る。

4 沈黙を切り抜ける

  • 天気などありきたりなネタ+自己開示
  • そして自己開示
  • 時にねぎらい
  • 目に見えたものからネタを拾う

5 関係づくりの端緒

  • 先手の挨拶
  • ほほえみ
  • アイコンタクト

6「人の輪」の入り方

  • 相槌を打つ、呼吸を合わせる。
  • やっぱり自己開示
  • 共有性の高い話題をストック
  • 内輪ネタ・マニアックネタは避ける

7 更に細かいテクニック

  • 細かい変化、仕草に注意する。気にかける
  • Yes/Noクエスチョンは答えやすい。
  • 名前で呼びかける。
  • 過去の会話/エピソードをまぜっかえす。
  • 異論があったら、直接的な否定/反論ではなく、質問形式で指摘する。
  • 感謝と労いのメールで距離を詰める

聞き役になれば大丈夫とか言いがちだけど、結局話さにゃならんのね

まずは聞き役に、というのはこの手の本にありがちなのだが、互いに打ち解けていないうちではいずれも話は弾まず、聞こうにも相手が話してくれないという事態になる。

こちらから積極的に話をすれば相手も多少は違うのだろうが、結局こちらから話をする覚悟を決めなければならない。

本書をさらにコンパクトにするならば、

  1. 話すネタを用意しておく。
  2. 相手をよく観察する。場の空気を読む。
  3. 効果的なあいずち、質問で相手の話を引き出し、広げる。
  4. 適宜自分のネタを挟む。

ということになろうか。そして、結局場数なのだろうな。残念ながら。

語学を身につけるには、当該国に移住するか、その言語を話す恋人・友人をつくれ、などとよく言われるが、これは話し方にも通ずるように思う。

話さなきゃ死ぬ環境に身を置く、話さなきゃ許されない相手と一緒にいる。

うげ。

話し方以前の問題

これらの手法の有効性はさておき、話が苦手という人は、そもそも話さなければいけないというシチュエーション自体にストレスを感じるものである。

  1. 聞き方 ←別に聞きたくない
  2. 話し方 ←余計な情報与えたくない
  3. 質問 ←広げたくない
  4. 受け答え ←めんどくさい
  5. 関係づくり ←別に作りたくない
  6. 人の輪に入る ←別に入りたくない
  7. ひとつ上の話し方 ←もう無理

いちいち拒否感が頭をよぎる。これは言い逃れようのない恥ずべき幼児性であり、社会人失格な無責任ぶりと自己批判せざるを得ない。

それは百も承知なのだが、

本書に、質問の語尾は「〜ですか?」ではともすれば尋問的になるので「〜でしょうね?」と柔らかくしようとあるのだが、どうしても、なんだか言われるのも言うのもキモいと感じてしまう。

穏やかな笑みを浮かべてアイコンタクト、やはりこっ恥ずかしい。

で、何はなくても自己開示、といった話に帰結する。

それがいやなんですよ。

話すネタを用意するために積極的に人と関わろうというのだが、それができている人はこんな本は読まない。

そして、このような救いようのない怠惰と幼稚性から来る忌避感をいかに克服するかという別のテーマが出てきて、

「嫌われる勇気」とかにつながるわけである(わけではない)。

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